【質問2‐5】
わが国のエネルギーの安定供給政策を知りたい。
 
【解答の要点】
 省エネルギーに関して産業界および国民の強力な理解および努力なしには、経済成長を維持し、かつCOP3(地球温暖化防止京都会議)の取り決めを実行することは難しいでしょう。
【解答】
 質問2‐4の回答に示すように、わが国のエネルギー問題の課題は「安定供給」「環境との適合」「市場原理」であります。総合資源エネルギー調査会では、2010年におけるエネルギー需給見通しを策定するにあたっては、わが国の経済成長を適切に維持しつつ、かつCOP3で定めた取り決め(質問2‐2の解答参照のこと)を実行するように、エネルギー安定供給政策を建てました。しかし現実には産業界および国民の強力な努力なしでは達成できないので、次の3つのケースを提示しています。赤字で示す「追加対策ケース」が目標であります。

エネルギー需給見通しと炭酸ガス排出量
項目 1990年度
実績
2000年度
実績
2010年度推算
レファレンスケース 現行対策推進ケース 追加対策ケース
一次エネルギー供給量(百万kl) 512 558 602 585 569
省エネルギー量(百万kl) 53 55 65〜67
新エネルギー量(百万kl) 15 19
原子力(2000年度以降の増設基数) 4基 4基 4基
炭酸ガス排出量(百万トン-C) 286 317 318 302 286
                          平成16年10月、総合資源エネルギー調査会 需給部会報告書より作成

 ここで「レファレンスケース」とは、現状の趨勢で推移するとして見積もられたケースであります。「現行対策推進ケース」とは、温暖化対策推進大綱に示された対策の効果を再評価して、達成が期待される効果のみを反映したケースであります。「追加対策ケース」とはCOP3の地球温暖化ガス削減目標を達成するために現行対策を強化したものであります。
 少し分かりやすくいえば、「レファレンスケース」は現状の努力の程度で達成できるもの、「現行対策推進ケース」は産業界および国民の協力によって達成が期待できるものでありますが、「追加対策ケース」は産業界および国民の更なる協力および努力なしでは達成できないものであります。
 
 経済成長を保ち、しかもCOP-3の取り決めを達成するためには、省エネルギーの推進、新エネルギーの開発と原子力発電所の増設しか方法はありません。原子力発電所の増設は、敷地の決定が遅れ、現状では2010年までは4基の増設に過ぎません。新エネルギーは開発が進みほぼ追加対策ケースを達成できるでしょう。しかし、省エネルギーに関しては「現行対策推進ケース」でも産業界および国民の協力なしでは達成が疑問視されている状態であり、「追加対策ケース」達成は至難の業であると考えられています。しかしながら産業界および国民の強力な協力および努力によってこれは達成しなければなりません。達成できなければ一次エネルギー消費量が増えた分炭酸ガスの排出量は増加します。

 従って追加対策ケースを達成できないときは、COP3で定めた取り決めを実行するためには、京都メカニズム〔備考参照のこと〕によって炭酸ガス排出権を取得するか、炭酸ガスを排出しない原子力の増強によって炭酸ガス排出を減らすか、国民の生活レベルを下げて一次エネルギー消費量を減らすか、どれかの道しかありません。また、これらの道を組み合わせて解決する方策もあります。皆さんはどの道を選びますか。

〔備考〕京都メカニズムとは、@他国と共同研究または他国への技術協力を行うことによって、炭酸ガスの排出を減らせば、日本の寄与分だけ日本の炭酸ガス排出権を得るメカニズム、およびA他国より炭酸ガス排出権を買うメカニズムをいう。 

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