チェルノブイリ事故による子供の甲状腺ガンの発生状況を知りたい。

【解答】                 
 1986年(昭和61年)4月26日にチェルノブイリ事故が起こって4年目の1990年から子供の甲状腺ガンの発生が観察され始め、その後甲状腺ガンの患者が年々増加しました。

  新聞やテレビでは子供の甲状腺ガンの発生を大々的に取り上げました。例えば19951124日の読売新聞では「WHO(世界保健機構)主催の国際会議によると、旧ソ連3カ国では、事故が起きた1986年から94年まで(9年間)に計565人の子供が甲状腺ガンになった。」とあります。またテレビでは、この記事と前後してチェルノブイリの子供の甲状腺ガン除去手術をしている惨たらしい映像や、手術後の子供の傷跡を大写しにした映像を放映しました。この記事やテレビを見た人の多数が、チェルノブイリの子供達が甲状腺ガンで非常に大きい被害を受けていると、被害を過大に捉えるのは当然でありましょう。

 しかしながら
WHOが発表した甲状腺ガンの発生率については読売新聞は何もふれていませんが、このときのWHOの発表では、1994年で子供10万人あたりの甲状腺ガンの発生数は、ベラルーシ国で3.6人/年、ロシア連邦で2.2人/年、ウクライナ国で0.3人/年でありました。この数字を各種ガンの自然発生率と比べると、あまり大きい値ではありません。

 
現時点では、国連科学委員会2000年報告書によれば、事故時17歳以下の子供の1998年までの甲状腺ガンの発生総数は、旧ソ連3国の合計で1,800人近くに達しています。

 しかし甲状腺ガンの発生率をみれば1995年以降はほぼ平衡状態に達しています。そしてベラルーシ国の高度汚染区域では、子供10万人あたり6人/年程度になっています。

 また甲状腺ガン患者は1,800人でありますが、現在までの甲状腺ガンによる死亡者は9名であります。