ガンは放射線被ばくをしなくても、自然発生しています。ガンの自然発生状況を知りたい。またチェルノブイリ事故によるガンの発生状況と比べるとどうなるか知りたい。


【解答】
  ガンの自然発生率は次の通りであります。

ガンの種類

対象

発症率(罹患率)
(10万人当たり)

死亡率
10万人当たり)

甲状腺ガン

014歳の子供

0.050.1/

(非常に低い)

成人

1.5/

(  〃     )

白血病

014歳の子供

2.9/

1.0/

全年齢(年齢調整)

5.2/

4.0/

全ガン

0〜14歳の子供

9.2/

2.3/

全年齢(年齢調整)

300/

150/


(注1)年齢調整は、各年の罹患率や死亡率を昭和60年の年齢構成で換算したものである。平均寿命が伸びて老人人口が増えても、年齢調整を行なえばその影響がなくなる。老人人口が増えている現在の実際の罹患率や死亡率は年齢調整を行なった値よりかなり高い。
(注2)白血病および全ガンの自然発生率は国立がんセンターのガン統計(1998年または1999年)による。

 チェルノブイリ事故によるガンの発生状況とガンの自然発生状況を比べてみますと次のようになります。

 チェルノブイリ事故の放射線被ばくによって、厳重管理区域住民27万人の、全ガンの過剰ガン死(生涯に亘るガン死)は1500人と推定されています(チェルノブイリ・フォーラム報告書 2005年8月)。これは生涯(80年間)に亘る全ガンについての死亡者が10万人あたり560人ということになります。これを年間に換算しますと、10万人あたり年間7人の全ガン死亡となります。これがチェルノブイリ事故の被害であります。

 一方表に示すように、自然発生全ガンの死亡率は10万人あたり年約150人であります。そして自然発生の全ガン死亡率の毎年ごとの変動は10%程度の15人くらいでしょう。

 したがって、前述のチェルノブイリ事故による10万人あたり年間7人の過剰ガン死は検出できません。つまり全がんの自然発生率を乱す値ではありません。

 
これはチェルノブイリ事故20年後までの疫学調査で明らかにされたことであります。