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「7.低迷を克服して新たな飛躍を目指すわが国の原子力発電」へ進む

6. わが国の原子力発電の今後

 「長期エネルギー見通し」(2004.10 総合資源エネルギー調査会需給部会)によると、2010年度における原子力発電によるエネルギー供給は8700万キロリッター(原油換算)で一次エネルギーの約15%、発電設備5014万キロワットで3872KWH、全電力量の約36.5%、このために今後10年で10から13基のプラント新設が必要、とされている。

 200510月、原子力委員会の「原子力政策大綱」(旧「原子力長期計画」)が史上はじめて閣議決定されて公表された。これには、具体的な目標として「2030年以後も原子力発電は総発電量の3040%程度という現在水準かそれ以上を目指すのが適切」、と記されており、また「2030年ごろからはじまると見られる既存発電炉のリプレースに関しては現行の軽水炉の改良型で、スケールメリットの観点から大型炉を中心とするが、需要規模、投資規模などから標準化された中型炉も選択肢となりうる」、とされている。

 電力自由化のもとで大型投資がやりにくい、しかし需要は小幅ではあるが着実に増加する、また温室効果ガスの排出抑制から脱炭素系燃料による発電へと電源の質の転換が迫られることなどから、原子力がこれに対応するためには中小型炉でかつスケールメリットを上回る「標準化による量産の経済的メリット、国際入札も含む調達の経済的メリットを追及し、さらには本質安全思想を基本としたつくりやすく、運転・保守しやすく、工場プレファブ化可能な、シンプルな設計」を、国外市場も視野に入れて、実現する必要がある。国際的な「第4世代原子炉開発」に見るようにその可能性は十分にある、と考えられる。

 「第4世代原子炉炉開発」は2030年ごろの実用化を目指して米国エネルギー省が提唱したもので、米国・日本・英国・フランス・カナダ・韓国・南アフリカ・スイス・ブラジル・アルゼンチンの10ケ国からなる第4世代国際フォーラム(GIF)によって進められている。臨界圧軽水冷却炉(SCWR)、ナトリウム冷却高速炉(SFR)、鉛合金冷却高速炉(LFR)、超高温ガス炉(VHTR)、ガス冷却高速炉(GFR)、溶融塩炉(MSR)の、6つの概念が選択されている。また国際原子力機関(IAEA)ベースではロシア、インドなどによる共同開発(INPRO)も進んでいる。

 燃料取替えが数10年に1度という原子力電池に類する原子炉の開発もわが国でおこなわれており、海外の関心を呼んでいる。

 また「原子力政策大綱」には高速炉について「2050年ごろからの商用ベースの導入を目指すが、遅れる場合には改良型軽水炉の導入を継続」とされている。

 技術的に成熟段階に達した現在の軽水炉も今後、不断の進化が進むであろう。高速炉も軽水炉との競合の中で一層の技術開発が進むであろう。現実にはウラン資源のうちのわずか0.7%のウラン235を燃料とする軽水炉と、99%以上のウラン238を利用できる高速炉が共存するハイブリッドで柔軟性ある原子力発電体系が比較的長く継続すると思われる。

 高速炉は増殖機能のみならず、軽水炉運転に伴って生じる長半減期の核種も燃料としてエネルギー化できるとともにこれらを短半減期化でき、これによって将来の地層処分における環境負荷を低減できる可能性がある。

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